オーロラのカーテンをめくる

きままにひとりごと

最近の読書日記

こんにちは。

年明けからの小説と漫画の読書記録です。話題のもの、本屋さんで偶然ビビっときたもの…総じてかなりヒットしました。充実している。それではさっそく語っていきましょう。

 

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同士少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬

お正月に帰省したときに実家にあった本を拝借。話題だったけど自分では買わないジャンルだと思っていたので、手に取れていい機会でした。

普通の女の子が家族、暮らしていた村を奪われ狙撃兵として訓練・実戦を重ねていく姿は逞しくて悲しい。あっけなく死んでいく敵と仲間たち、戦争中の女性の立場、正義…と凄まじい内容でも淡々とした文章ですらすら読めた。今現在の問題を考えるとソ連視点というのは感情移入できないなーと思ったけど、そんなもの大した問題ではなかった。読み終わってみて漠然と思ったことは、早く平和な世の中になってほしいということ。

 

あちらにいる鬼/井上荒野

実話を元にした不倫もの。それをその当事者のお子さんが書かれているのです。そのことを鑑みるとさらに内容えぐいし、私はいったい何を読んでいますか?となりますが、二人の女性が一人の男性を巡って冷静に狂っていく様や心の揺れについつい魅入ってしまう。女の複雑な心情が理解できるようなできないような…いや、私にはできない。しかしまあ、正妻と不倫相手、それぞれ異なる妖艶さが醸し出てるのです。優美でしなやか、でもやってることは理解不能。そのアンバランスさが艶やか。そして不倫相手のモデルになった人物が、こういった経緯で出家したのだ、という理由もこの小説から知りました。人生濃ゆすぎる。重量級の泥沼と、不思議で歪な男女、あるいは女性同士の関係性が美しいシルクのように滑らかさが絶妙に共存したお話でした。

 

わたしの好きな季語/川上弘美

タイトル通り、作者が好きな季語が紹介されている俳句エッセイ。四季ごとにまつわるエピソードが徒然なるままに語られていて、読んでて落ち着きます。目刺とか枝豆とか木耳とか、これも季語なんだ!と驚くと同時にさすが川上さん、着目点が面白いなーと思いました。私は特に「春の風邪」と「冬鴎」の章が好き。ふわふわとした日常が愛おしくなります。とても単純なので、心の中で俳句を詠むようになりました。

 

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おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子

芥川賞受賞作。めっっっちゃ好きな作風でした。正直、後味悪くてむかむかする。職場恋愛ものですが全くときめかないし、むしろ具合悪くなる…。レビュー覗いてみたら、みんな同じようなこと言っててどの感想にも激しく同意した。弱い女性が強いの図、しっかりしてて努力もするデキる女性が報われないのはしんどかった。押尾さん、あなたは何も間違ってないよ。頑張ってるよ。だけど、妙な納得感と確かにそんなものだよねという諦めがざわざわと心を侵食してくるのです。気持ち悪いと思いつつ、すらすら読めてしまう文章が秀逸。あ〜不穏で最高に面白かった。

 

おひとりさまホテル/まろ・マキヒロチ

ひとりでホテルに泊まるのが趣味の女性と、同じくホテルにこだわる同僚たちのホテルライフ漫画。私もひとりで旅行したりするの好きなので、ここまでガチ勢ではないけど共感できた。いいよね、自宅以外の場所でひとりでまったり過ごすの…。これからはホテルに重きを置ける大人になりたい。特に千葉の小江戸に泊まってみたいと思いました。次巻も読みます。

 

工場夜景/有賀リエ

工場地帯に暮らす両思いの高校生が、ある事件をきっかけに離れ離れになり、社会人となって再会する…というお話。ある事件、というのが女子高生の父親が、男子高生の母親に性犯罪をしたというもの。つまり加害者と被害者の家族というわけで、自分がしたことではなくても責任を負い、周りはその事実を糾弾し続けて、人生が狂っていくのが辛かった。切なくてやらせなくて、でもまっすぐな2人の恋心が尊くて、気がつけば涙が溢れていました…。重くてしばらく落ち込んでたけど、読んで良かったです。

 

戦争もの、不倫もの、加害者被害者家族のお話…などハードな内容のものが多く、感情がとにかく忙しかった。とても良い読書体験ができました。

ではまた。