読書の備忘録 2022下半期
読書の記録、2022下半期編です。
仕事がめちゃくちゃ忙しい!ということもなかったのもあり、すっかり読書時間が生活の中に取り込まれてきました。スマホをだらだら眺めるのも好きだけど、やっぱり心の健康には読書が効きますね。ありがとう、いい薬です。
またしても読んだ順に羅列していきます。敬称略で失礼します。
- 炉辺の風おと(梨木香歩)
- 三千円の使い方(原田ひ香)
- キンモクセイ(今野敏)
- 五匹の子豚(アガサ・クリスティ)
- 丹生都比売(梨木香歩)
- パリ行ったことないの(山内マリコ)
- 月曜日は水玉の犬(恩田陸)
- あのこは貴族(山内マリコ)
- ヤモリ・カエル・シジミチョウ(江國香織)
- 一心同体だった(山内マリコ)
- エンジェル・エンジェル・エンジェル(梨木香歩)
- ぐるりのこと(梨木香歩)
- 椿宿の辺りに(梨木香歩)
- 真似のできない女たち(山﨑まどか)
- 白昼の悪魔(アガサ・クリスティ)
- 葬儀を終えて(アガサ・クリスティ)
- 杉の柩(アガサ・クリスティ)
- 悲しみの秘義(若松英輔)
- ホロー荘の殺人(アガサ・クリスティ)
- 終りなき夜に生れつく(アガサ・クリスティ)
- ぼくの死体をよろしく頼む(川上弘美)
- 村田エフェンディ滞土録(梨木香歩)
- 渡りの足跡(梨木香歩)
- カーテン(アガサ・クリスティ)
- 注文の多い注文書(小川洋子/クラフト・エヴィング商會)
合計25冊でした。上期に続き女性作家さんの割合が大きいですね。そして作者さんが偏りがち。
特に顕著なのがアガサ・クリスティ。ポアロシリーズを始めとして特に評判がいいものから選んで読みました。さすがに全ては読みきれないと日和った結果でございます。
ポアロものは個人的に「杉の柩」が好きでした。トリックや犯人もですが、まず物語の構成方法について感心しました。読み返してみてその緻密さに気づき驚きます。また、登場人物たちの人間関係の移り変わりや恋愛パートなど物語としても面白いので読み応えがあります。
上記に挙げた作品の中では、特に印象に残っているものをピックアップ。
あのこは貴族
仕事の関係で山内マリコさんの講演会にいく機会があり、どんな作風の方なのかなと手を取ったのがきっかけです。
ハイスペ男子を巡る都会出身のお嬢さんと地方出身の成り上がり系女子のお話なんですが、予想に反してドロドロしておらず、むしろ爽やかな友情すら感じるガールミーツガール的な印象を抱きました。門脇麦さん×水原希子さんの映画版も、意外なキャスティングに思いましたが結構評判良いみたいでそのうち観てみようと思います。
こちらの作者さん、他の作品も地方出身なことにコンプレックス感じてる系の人物が多く、まあそれが執筆する上でのテーマなのかなと分かるんですが、確かに都会地方出身問題は複雑で、己のアイデンティティにも深く関わると社会人になりひしひしと実感しますね。意外と拗らせてる人たくさんいるし、私自身も生粋のお嬢様とお話しすると「うっ」とダメージ食らう瞬間がある。場所に捕らわれずのびのび暮らすのって難しいかもしれないけど、でも、それが全てではないですからね(あたりまえ体操)。
渡りの足跡
鳥の渡り、その軌跡を訪ねて見つめた随筆集。渡鳥とともに国内外へ旅を重ねる作者のフットワークの軽さとネイチャーライティングへの信念は尊敬に値します。各エピソードはどこを切り取っても端正で味わい深い。もっと私自身に知識と社会意識があれば、内容を深く理解できたり、違う見方ができるのだろうと思うので、また数年後読み返したいです。
梨木さんのエッセイ、小説は読んでいるだけで精神が磨かれるような、少しは高尚な人間になれたような気がします。まあ、あくまで気のせいであって、そんな気分はすぐに霧散しますが…。ひと時だけ得られる儚くも美しい魂。
身近にある植物であったり、手仕事、少し不思議な事象なんかに愛情を、あるいは疑問を持ち深く思考することで感覚は研ぎ澄まされるんだと思えました。ルーチンワークのように日々を繰り返してしまいがちですが、たとえ旅をするように暮らすことができなくても、何気ない一瞬を拾い上げては自分の中に取り込みたい。
心から好きで信頼できる作者さんに出会えて良かった。
カーテン
ポアロシリーズ最終作。これを読みたいがためにポアロシリーズをいろいろ読んだのですが、遠回りして良かったと思うくらい面白かった!鎌倉殿の13人オマージュ説が飛び交っていましたが、偶然、最終話放送と同じくらいに読了して、そういう意味でも非常にタイムリーでした。
ヘイスティング大尉の語りでありながら、ABC殺人事件のような躍動感はなく、暗中模索なふうに物語は進みます。終始ダークな雰囲気で、事件の真相・結末もかなり衝撃でした。ネタバレを踏まずに最後まで読んで良かった…。シリーズのラストに相応しい清々しいまでの容赦のなさとどんでん返しで、(飛び飛びながらも)シリーズを追って良かった、と感無量な気持ちになりました。
また、ノンシリーズの「終りなき夜に生れつく」も好きでした。若い男女のラブストーリーと見せかけて…という欺きがうまくて唸りました。噛めば噛むほどうまいスルメのような、ではありませんが、読み返してみるとここも伏線だったんだという驚きを何度でも味わえます。
以上が下半期の読書記録でした。
感想を文章にするって結構難しいですね。解像度を上げるためにも来年からは一冊一冊についてコメントを残せたらと思います。気になったりおすすめしてもらった本はどんどん読んでいく所存です。
では。